コラム

仮想通貨に関する所得の計算方法等について

税務

 平成29年12月1日に国税庁からビットコインをはじめとする仮想通貨を売却又は使用することにより生じる所得の計算方法等について、情報が公表されました。
具体的には、以下の9つのケースについて所得の計算方法等を明示しています。

1.仮想通貨に関する所得の区分

 ビットコイン(以下「BTC」という。)をはじめとする仮想通貨を使用することによる損益は、原則として、雑所得に区分されることとなります。

 しかし、例えば、事業所得者が、事業用資産としてBTCを保有し、その決済手段として使用している場合、その使用に生じた損益については、事業に付随して生じた所得と考えられるので、事業所得となります。

 このほか、その収入によって生計を立てていることが客観的に明らかであるなど、その仮想通貨取引が事業として行われていると認められる場合にも、その所得区分は事業所得となります。

 

 2.仮想通貨の取得価額

 同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合のその仮想通貨の取得価額の算定方法としては、移動平均法を用いるのが相当です。(ただし、継続して適用することを要件に総平均法を用いることもできます。)

 

例:〇 3月9日に2,000,000円で4BTCを購入

   →2,000,000円÷4BTC=500,000円/1BTC

  〇 3月10日から11月30日までの間で1.5BTCを売却

   →売却後、保有する2.5BTCの価額:500,000円×(4BTC-1.5BTC)=1,250,000円

  〇 11月30日に2BTCを購入(11月30日時点での1BTCの価額は800,000円とする)

   →購入した2BTCの価額:800,000円×2BTC=1,600,000円

 

①移動平均法を用いた場合の1BTCの取得価額

1,250,000円+1,600,000円)÷(2.5BTC+2BTC)=633,334円/BTC

【保有しているBTCの総額】【保有しているBTC】

②総平均法を用いた場合の1BTCの取得価額

2,000,000円+1,600,000円)÷(4BTC+2BTC)=600,000円/BTC

1年間に取得したBTCの取得価額の総額】【1年間に取得したBTC】

 

3.仮想通貨の売却

  保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

 例:2,000,000円で4BTCを購入し、0.2BTCを110,000円で売却した場合

 答:110,000円-(2,000,000円÷4BTC)×0.2BTC=10,000

  【売却価額】【1BTC当たりの取得価額】【売却BTC】【所得金額】

 

4.仮想通貨での商品の購入

  保有する仮想通貨を商品購入の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

 例:2,000,000円で4BTCを購入し、155,000円の商品購入に0.3BTCを支払った場合

 答:155,000円-(2,000,000円÷4BTC)×0.3BTC=5,000

   【商品価額】【1BTC当たりの取得価額】【支払BTC】【所得金額】

 

5.仮想通貨と仮想通貨の交換

  保有する仮想通貨を他の仮想通貨の購入の決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の購入価額(時価)と保有する仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

 例:2,000,000円で4BTCを購入し、他の仮想通貨の購入(時価600,000円)の決済に1BTCを使用した場合

 答:600,000円-(2,000,000円÷4BTC)×1BTC=100,000円

  【他の仮想通貨の時価】【1BTC当たりの取得価額】【支払BTC】【所得金額】

 

6.損失の取扱い

 所得税法上、他の所得と通算できる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得とされているため、仮想通貨の取引により生じた損失が雑所得である場合は、他の所得と通算することはできません。

 

7.仮想通貨の証拠金取引

 仮想通貨の証拠金取引による所得については、申告分離課税の適用はないため、総合課税により申告することとなります。

 

8.仮想通貨の分裂(分岐)

  仮想通貨の分裂(分岐)に伴い新たに誕生した仮想通貨を取得した場合、分裂(分岐)時点においては、取引相場が存しておらず、同時点においては価値を有していなかったと考えられるため、その取得時点では所得が生じず、その新たな仮想通貨を売却又は使用した時点において所得が生じることとなります。

 

9.仮想通貨のマイニング等

  「マイニング」(採掘)などにより仮想通貨を取得した場合、その所得は事業所得又は雑所得の対象となります。

 この場合の所得金額は、収入金額(マイニング等により取得した仮想通貨の取得時点での時価)から、必要経費(マイニング等に要した費用)を差し引いて計算します。

 なお、マイニング等により取得した仮想通貨を売却又は使用した場合の所得計算における取得価額は、仮想通貨をマイニング等により取得した時点での時価となります。

 

 仮想通貨の利益でお悩みの方は、ぜひ税理士法人CROSSROADへご相談ください。

 

 

 

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