コラム

法定相続情報証明制度

税務

 今回は、平成29年5月に創設された「法定相続情報証明制度」についてご紹介します。
この制度は、相続が発生した場合の、相続人の負担を軽減する目的で創設された制度です。

1.制度創設の背景
 不動産の登記名義人が死亡した場合、所有権の移転登記が必要ですが、近年、移転登記が未了で放置されている不動産が増加し、所有者不明土地問題や空き家問題の一因となっています。
 そこで、移転登記を促進するため、法定相続情報証明制度が創設されました。

 

2.制度の概要
 通常、相続が発生した場合、相続人は戸除籍謄本などを、各種窓口に何度も提出する必要があります。
 この制度は、相続人が法定相続情報一覧図(以下「一覧図」という)を作成し、登記所に申出(提出)をすれば、登記所から交付されるその一覧図の写しを、戸除籍謄本などの代わりとして利用することができる制度です。

 

3.制度の利点
 この制度には、具体的に次のような利点があります。
① 登記所から交付される一覧図の写しは、無料で複数発行可能なため、相続人の費用負担と手間の軽減、各種手続の同時進行による時間短縮になります。
② 一覧図の保管期間は5年間で、その期間中は何度でも再交付が可能です。

 また、以前は被相続人の凍結口座からの引き出しや、不動産の名義変更のみの利用に限られていましたが、平成30年4月以降は、相続税の申告にも利用できるようになりました。

 

4.制度の注意点
 ただし、この制度には次のような注意点があります。
① 最初に登記所に申出をする際に、戸除籍謄本などが必要です。
② 再交付の申出をできるのは、当初、登記所へ一覧図の保管等の申出をした相続人に限られ、他の相続人が再交付を希望する場合、当初申出をした相続人からの委任が必要です。
③ 推定相続人の廃除があった場合、一覧図には、原則、その廃除された者の記載がされません。
④ 被相続人又は相続人が日本国籍を有さず、戸除籍謄本などを添付することができない場合、この制度は利用できません。

 

 様々な注意点はありますが、相続が発生した場合にこの制度を活用できれば、各種手続きの負担と手間の軽減、時間短縮になります。
 将来の相続について法定相続情報証明制度の利用をお考えの方は、税理士法人CROSSROADまでお気軽にご相談く

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