コラム

中小企業投資促進税制について

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令和7年度税制改正では、中小企業投資促進税制及び中小企業経営強化税制について、一定の見直しが行われたうえで適用期限が2年延長されました。今回は、中小企業投資促進税制の概要やポイントについて触れていきたいと思います。

【概要】

中小企業投資促進税制とは、中小企業者等が機械等を取得した場合に特別償却または法人税額の特別控除を受けられる優遇措置のことです。(租税特別措置法第42条の6)人口減少・少子高齢化に伴う労働力人口の減少や国際競争の激化、物価の高騰など、中小企業を取り巻く事業環境は厳しさを増しています。人材確保や事業の持続的な発展が懸念されているなか、中小企業者等の設備投資を通じた生産性の向上を図る目的で当該制度が設けられています。

【制度の内容】

一定の機械装置等の対象設備を取得した場合、特別償却または税額控除が選択適用できます。

 

●対象法人

①特別償却の対象となる法人

青色申告書を提出する法人のうち、中小企業者または農業協同組合等もしくは商店街振興組合

中小企業者とは、以下のような法人です。

(1)資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち、次に該当しない法人

 ・発行済株式または出資(その有する自己の株式または出資を除く)の総数

  または総額2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人

 ・その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人

 ・他の通算法人のうちいずれかの法人が次のアおよびイに該当せず、または受託法人に該当する場合における通算法人

 ・資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち(1)で記載した法人以外の法人

 ・資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

(2)資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

 ※ただし、(1)で記載した法人を除く。

②税額控除の対象となる法人

①に掲げる中小企業者のうち資本金の額もしくは出資金の額が3,000万円以下の法人

または農業協同組合等もしくは商店街振興組合

 

●適用時期

令和7年4月1日から令和9年3月31日までの間に事業の用に供した資産

 

●対象設備

以下の新品の設備であり、かつ指定事業の用に供するもの

①機械装置:単品160万円以上

②測定工具および検査工具:単品120万円以上または単品30万円以上かつ事業年度で複数合計120万円以上

➂一定のソフトウェア:単品70万円以上または事業年度で複数合計70万円以上

④普通貨物自動車:車両総重量5t以上

⑤内航船舶:取得価額の75%

 

●指定事業

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの)

※映画業を除く娯楽業は対象とならないほか、性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象となりません

 

●措置の内容

・資本金3,000万円以下の対象法人に該当する法人

取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除

※内航船舶は取得価額の75%相当額

・資本金3,000万円超1億円以下の対象法人に該当する法人

取得価額の30%の特別償却

※内航船舶は取得価額の75%相当額

 

●税額控除限度額

税額控除を利用する場合、限度額は取得価額の7%です。

また、この制度における税額控除および「中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」(租税特別措置法第42の12の4)における税額控除の合計で、その事業年度の調整前法人税額の20パーセント相当額が上限となっています。

 

●税額控除限度超過額の繰越

税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超えるために、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額について1年間の繰越しが認められます。

 

このような優遇措置をうまく利用すれば、税金を抑えながら事業への投資をおこなうことができます。そして、今回取り上げた税制のような選択適用ができるものについては、より有利になる適用を判断し選択する必要があります。

税理士法人CROSSROADでは、各法人に合った税制優遇のご案内ついても積極的におこなっております。

ご興味がございましたら、ぜひ一度CROSSROADグループへお気軽にご相談ください。

 

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