コラム

金融資産に関する税制の概要

NEW 税務

昨今、日経平均株価が史上最高値を更新するなどの背景により、消費者の投資や投機など、資産運用への関心が高まっております。資産運用を始める人も増える中で、利益が出たときにかかる税金の仕組みを知っておくことは大切です。今回は、株式や投資信託、仮想通貨の税制について、令和7年現在の税制と、今後の税制改正の見とおしを説明いたします。

1.株式・投資信託の税制概要

個人の場合、株式や投資信託で得られる譲渡益(売却益)や、配当金・分配金(普通分配金)には、次のとおり税金がかかります。(法人の場合は、一般の売上などと同様に、利益に対して法人税が課せられます。)

① 所得税:15%
② 住民税:5%

③ 復興特別所得税:0.315%
④ 合計(①~③):20.315%
※ 投資信託の「特別分配金(元本払戻金)」は非課税

また、株式投資で損失が出た場合には、漏れなく確定申告をおこなうことで、3年間その損失を繰り越すことが可能です。

 

2.仮想通貨の現行税制概要

これに対して、仮想通貨(ビットコイン、イーサリアムなど)の利益は、現行の税制では「雑所得」として扱われ、総合課税の対象となります。総合課税の取扱いとなることで、税負担が重くなるケースが多く、その申告も複雑です。

① 他の所得(給与など)と合算して課税
② 税率は最大55%(所得が高いほど税率が上がる)
③ 損益通算・損失繰越は不可
④ 仮想通貨同士の交換も課税対象

 

3.仮想通貨の税制改正見とおし

そこで、令和7年に金融庁と業界団体が提出した要望により、仮想通貨に対して令和8年以降の税制改正が検討されています。主な改正「案」は次のとおりです。
① 申告分離課税の導入(税率20.315%)
株式と同様に、仮想通貨の利益を他の所得と切り離して課税
② 損失繰越控除(3年間)
仮想通貨で損失が出た場合、翌年以降の利益と相殺可能
③ 仮想通貨同士の交換は「非課税」または「繰延課税」
 実際に円に換金するまで課税されない仕組みが検討中
対象は「国内取引所経由の取引」が中心で、海外取引所などは対象外の可能性あり
④ 実施時期は「令和8年~令和9年」が有力
 令和7年末の税制改正大綱に盛り込まれれば、令和9年から適用される可能性が高い

 

ニュースなど見ていても、日経平均株価の史上最高値更新や物価の値上がりなど、世の中が目まぐるしく動く中で、投資などに興味を持たれる方も多いかと存じます。特に仮想通貨など、新たに投資対象となる金融資産も誕生しております。投資で利益が出る一方で、その利益に対する税金はどのように課せられるのか、不安を感じられる方も多いかと存じます。

取扱いに悩まれた場合、タイムリーな情報を得られたい場合は、ぜひ一度CROSSROADグループへご相談ください。

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