コラム

資金調達に追い風!『事業性評価型融資』来年スタート!

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かつて銀行は“投融資”を通じて、産業金融を担っていたが、金融危機後の規制強化により“投融資”は鈍化。そのような背景を受け、金融庁は2014年に『金融モニタリング基本方針』を公表し、銀行には“投融資”の復活を求めるのではなく、「事業性評価に基づく融資」を軸に企業成長を支援する役割が示された。
さらに2024年の事業性融資推進法成立をうけ、2026年からは企業価値担保権付き融資の導入により、無形資産が担保として評価され、事業性評価の重視が一層進む見通しとなります。

■事業の将来性を評価する新たな融資制度とは?

これまでの融資では、不動産・機械設備・経営者保証といった“形のある担保”が重視されてきました。

そのため「良いサービスや技術はあるが、担保にできる資産がない」といった企業にとっては、十分な融資が受けにくい状況が続いていました。

そこで金融庁は、以下の二点を基本方針として掲げています。

  • 企業が持つ事業の価値や将来性を正面から評価すること
  • 担保・保証に過度に依存しない融資の推進をすること

 

■無形資産も評価対象に—「企業価値担保権」の創設

 大きなポイントが「企業価値担保権」という新たな担保枠組みで、これは、企業が持つ無形資産(ブランド力・技術・顧客基盤・ノウハウなど)も含め、事業全体の価値を担保として評価するという仕組みになります。

従来の担保(不動産など)に頼らずとも、事業そのものの価値を銀行が担保として扱えるようになるため、有形資産が少ないスタートアップや事業再生に取り組む企業にとって資金調達の選択肢が大きく広がりそうです。

さらに、この企業価値担保権は、経営者保証の利用を制限する設計となっており、個人保証リスクに悩む経営者にもメリットがあります。

■中小企業にとって“明るい見通し” 

今回の制度は、単に法律を作っただけではなく、国・金融機関・専門家が一体となり「事業性評価型融資」を本格的に推進する体制が整備されることになりました。

特にメリットとなるのは以下の点です。

  • 将来性のあるビジネスが評価される
  • 無形資産を強みとして融資に活かせる
  • 経営者保証に依存しない融資が拡大
  • 事業計画の改善や情報整理を専門家が支援

これにより「いい商品・いいサービスを持っているが、担保がない」という企業にも、本来受けられるべき資金が届きやすくなると考えられます。今後は、銀行も事業内容を深く理解する姿勢が求められ“企業の将来を一緒に作る融資”へと変化していくことが期待されます。

この制度の活用をご検討の方は、是非、税理士法人CROSSROADにご相談ください。

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