1.経理・総務の“時間を奪う業務”はAIが最も効率化

反復作業や情報整理、日々の判断業務が多いバックオフィス領域は、生成AIとの相性が非常に良い分野です。特に、次のような業務では導入効果を実感しやすいでしょう。

• 証憑整理・支払処理・仕訳作成
• メール・資料の情報整理

 

① 経理：証憑整理・支払処理・仕訳作成の効率化

• 請求書入力のほぼ全自動化

AI-OCRを活用することで、PDFや画像データの請求書から、金額・日付・取引先などを自動で抽出できます。さらに、勘定科目の候補や摘要案まで生成されるため、担当者は内容を確認するだけで済み、入力作業を大幅に削減できます。

• 支払処理の抜け漏れ防止

取り込んだ請求書から支払依頼を自動作成し、承認フローへ送付することで、支払漏れや確認ミスを防止できます。振込データの作成まで効率化でき、月末・月初めの業務負担軽減にもつながります。

• 科目判断・摘要作成の標準化

AIに支払内容を入力するだけで、取引の要約、科目候補、摘要案が提示されます。担当者ごとの判断のばらつきが減り、業務の標準化や属人化の解消にも効果があります。

 

② 総務：メールや資料の“情報整理”の高速化

• 長文メールの要点抽出

AIがメールの重要ポイントや対応すべきタスクを数行に整理することで、確認時間の短縮と情報共有の質向上が期待できます。

• 会議録の自動作成

AIが会議内容を要約し、議題整理やタスク抽出まで対応。総務の議事録作成負担を大きく減らします。

• 社内文書・マニュアルの下書き生成

社内通知、業務マニュアル、規程改定などの文章についても、AIが叩き台を作成するため、ゼロから文章を考える手間がなくなります。

• 資料の要点整理・比較

複数資料の要点整理や相違点の抽出もAIが得意とする分野であり、情報整理にかかる時間を大幅に短縮できます。

 

2.導入しやすいクラウドサービス例

近年は、請求書処理や経費精算を効率化するクラウドサービスも充実しています。例えば、バクラク（株式会社LayerX） は、AI-OCRの精度が高く、請求書情報の抽出、承認フローの自動化、会計ソフトとの連携といった機能を備えています。

重要なのは、特定のツールを導入すること自体ではなく、

「自社の業務フローに合った仕組みを選ぶこと」 です。

 

3.生成AIの導入がうまくいかない企業の特徴

• 導入目的が曖昧で、対象業務が定まっていない
• 情報管理ルールが整備されていない
• AIの回答を確認せず、そのまま使用してしまう
• 最初から完全自動化を目指してしまう

生成AIは、まず小さく導入し、効果を確認しながら広げていくことが成功のポイントです。

 

4.生成AI活用における情報管理上の注意点

生成AIを業務で活用する際には、個人情報や取引先情報などの機密情報の取り扱いに注意が必要です。クラウド型AIサービスを利用する場合は、利用規約やデータの学習利用の有無を確認するとともに、社内で「入力してよい情報の範囲」を明確に定めておくことが重要です。

 

5.まずは“負担の大きい一業務”からAI化を

生成AIは、バックオフィス業務の在り方を大きく変える可能性を秘めています。特に経理・総務分野では、入力作業の削減、業務の標準化、ミス防止、属人化解消といった効果を比較的早く実感できます。請求書処理やメール要約など、まずは一つの業務から導入することが、会社全体の生産性向上につながります。

税理士法人CROSSROADでは、マネーフォワードクラウド会計・freee会計の導入支援に加え、生成AIを活用した経理・総務業務の効率化についてもご相談を承っています。

ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。