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確定申告漏れの典型例と注意点~国税庁公表~

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今年の確定申告(2025年分/令和7年分)の期間は、令和8年2月16日(月)から3月16日(月)までになっています。確定申告は「申告したつもり」でも、売上の計上漏れや副収入の未申告など、思わぬところで申告漏れを指摘される場合があります。令和7年12月に国税庁が公表した「所得税等の調査状況報告」を基に、国外送金を手掛かりにした海外不動産の賃料収入やゲーム機器等の転売収入など、申告漏れにつながりやすい典型例とポイントを整理します。

【税務調査はどうやって選ばれる?】

国税庁では『国税総合管理(KSK)システム』が運用されており、この情報を基に税務調査の選定が行われています。全国の国税局と税務署をネットワークで結び、地域や税目を越えた情報の一元的な管理により、各種事務処理の高度化・効率化を図るために導入したコンピュータシステムです。

令和8年9月24日に新システム「KSK2」の運用開始が予定されています。100万円を超える海外送金の事実を金融機関が税務署に報告する「国外送金等調書」などの様々なデータを一元管理し、AI等の技術のもと、適正な申告納税がされているかを確認することができます。

【税務調査事例①:海外不動産・海外口座の収益は「送金・口座情報」から見つかる】

 前述の「国外送金等調書」や「CRS(世界各国の税務当局間で銀行口座情報を自動交換する仕組み)」など、海外送金に関して多くの情報が国税庁に蓄積されています。海外金融機関で投資信託と国外不動産を運用していた人物が、税務調査でこれらの申告漏れを指摘されたケースがあります。調査対象者は、国内の所得のみを申告していましたが、税務署にて国外送金等調書を検討したところ、海外からの送金が多額に上るほか、CRS情報により海外金融機関口座の保有が見込まれました。税務調査を実施し、海外資産の保有が判明し、その結果3年分の申告漏れの指摘、約1億円の追徴税額を課されることになりました。

 「海外不動産は、現地で税務申告しているから日本の確定申告は関係ない」と誤って認識をしていると、あとから思わぬ納税をすることになりますので注意が必要です。

 

【税務調査事例②:転売・副収入は「デジタルデータ」から把握される】

 次の事例は、ゲーム機器・スマートフォン等の転売による収入があるにもかかわらず、給与収入しか申告していなかった事例です。

 KSKシステムなどの各種資料情報等から税務調査になり、調査対象者のパソコン及びスマートフォンから、直近の転売に係る取引先とのやり取りや請求書等のデータを把握しました。また、「売上・収入」に関する情報が破棄されていたため、税務署は取引先に対する反面調査等により、転売に係る収入を把握し追徴課税(重加算税)を決定しました。

国税庁では、電子商取引専門調査チームによるインターネットを利用した電子商取引など、あらゆる機会を通じて様々な資料情報等を積極的に収集・分析し、所得税等が無申告となっている者やインターネット取引を行う者についても調査を行っています。転売やフリマアプリ・ECの収入は、「少額だから大丈夫」「給与があるから申告しなくてよい」と誤解されやすい分野です。しかし、取引履歴(メッセージ、入出金、発送記録)はデジタルで残りやすく、整合が取れないと説明が難しくなります。

 

【こんな収入の申告漏れにご注意を!】

国税庁の「令和7年分確定申告特集」で以下の収入の「申告漏れ」の注意喚起がされています。

 

 ①原稿料、講演料、印税、放送出演料などの収入がある場合

 ②フリマアプリ、ネットオークション、ネット通販、転売、配達代行業、動画配信、アプリ作成・配信、アフィリエイト、ギャラ飲み、カーシェアリング、自宅等の時間貸し等の収入がある場合

 ③太陽光発電設備による売電収入がある場合

 ④暗号資産の取引に係る収入がある場合

 ⑤株主優待を受け取った場合

 ⑥保有する外国通貨の日本円への交換などによる為替差益があった場合

 ⑦一定の外国年金の収入がある場合

 ⑧競馬、競輪、オートレース、ボートレースの払戻金の支払を受けた場合

 ⑨生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金の収入がある場合

 ⑩ふるさと納税の謝礼として特産品を受け取った場合

 ⑪金地金の売却収入がある場合

 ⑫上場廃止となった株式の売却収入がある場合

 ⑬外国為替証拠金取引(FX)による収入がある場合

 ⑭退職金の収入がある場合

 

例年確定申告していない方は、⑨生命保険の一時金などは高額になるケースも多く注意が必要です。また、⑧競馬の払い戻しを受けた際にSNSなどで投稿すると、税務署から申告漏れを指摘されるケースも考えられます。⑫上場廃止となった株式の売却収入がある場合は、「株の売買は特定口座だから確定申告は要らない」と思っていると税務署から申告漏れの指摘の通知が届くかもしれません。

確定申告など身の回りの税金などで、ご不明点等がございましたら、ぜひ一度税理士法人CROSSROADにお問い合わせくださいませ。

 

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