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2026年度税制改正大綱において、これまで企業の賃上げを強力に後押ししてきた「賃上げ促進税制」の抜本的な見直しが示されました。

1.背景:制度の「激変緩和」から「真の構造的賃上げ」へ

政府はこれまで、物価高に負けない賃上げを支援するために時限的な税額控除を拡充してきました。しかし、2026年度税制改正大綱では、租税特別措置等の適正化の観点から賃上げ促進税制の見直しが示されました。中小企業については「制度継続」という配慮がなされたものの、内容が厳格化されており、今後は単に給与を上げるだけでなく、「女性活躍」や「子育て支援」といった社会的な認定(くるみん・えるぼし等)を受けている企業を優遇する仕組みへとシフトしています。

 

2.適用スケジュールと企業区分ごとの取扱い

企業区分により、制度の終了時期や内容が大きく異なります。

3.中小企業における具体的な改正点と対策

中小企業の皆様にとって最も影響が大きいのは、控除率を最大10%上乗せできていた「教育訓練費の上乗せ措置」の廃止です。

 

(1)教育訓練費加算の廃止

これまでは、教育訓練費を前年度より一定以上増加させれば、賃上げによる控除率に更なる上乗せが可能でしたが、2026年度改正以降はこの項目が削除されます。

(2)今後の鍵を握る「認定制度」の活用

教育訓練費による上乗せがなくなる代わり、税額控除率を高く維持するための手段となるのが、厚生労働省の認定取得です。

これらの認定を受けている場合、賃上げによる基本の控除率に上乗せを受けることが可能となります。

 

・くるみん認定(次世代育成支援対策推進法)

 「子育てサポート企業」として、育休取得率や労働時間の短縮など、仕事と育児の両立支援を高い水準で実践している場合に受けられる認定です。

・えるぼし認定(女性活躍推進法)

  採用、継続就業、労働時間、管理職比率、多様なキャリアコースの5指標に基づき、女性が能力を発揮できる環境が整っている場合に受けられる認定です。

 

4.認定取得までの基本的なフロー

認定は申請してすぐに取得できるものではありません。一定の「計画期間」と「実績」が必要なため、今すぐ準備を始めることが実務上の最大の対策となります。

(1)  現状把握(数値化)

 育休取得率や残業時間、男女別の離職率などを算出し、認定基準とのギャップを確認します。

(2) 一般事業主行動計画の策定・届出

 目標数値と実施期間(2年~5年程度)を定め、労働局へ届け出ます。

(3) 社内周知と外部公表

 策定した計画を従業員に共有し、厚労省の専用サイト等で公表します。

(4) 実績の蓄積

 計画期間中、実際に制度を利用してもらうなど、基準をクリアするための実績を作ります。

(5) 認定申請

 計画期間終了後、実績が基準を満たしていれば労働局へ申請し、審査を経て認定されます。

 

5.まとめ

これまで活用しやすかった教育訓練費の上乗せが廃止される今回の改正は、実質的には上乗せのハードルが一段上がったと言わざるを得ません。

しかし、これはピンチではなく、貴社を「選ばれる企業」に変えるチャンスでもあります。人手不足が深刻化する中、国の認定マークは採用力の向上や離職防止にも資する可能性があります。

今回の見直しを、単なる減税枠の縮小と捉えるのではなく、税制優遇を活用しながら「選ばれる企業」へと組織をアップデートする機会として検討されてみてはいかがでしょうか。

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