コラム

新型コロナウイルス感染症への支援等(厚生労働省による助成金の活用)

労務

「感染の疑いがある社員から、その旨の報告があったら…」、「学校の臨時休業が長引き、その保護者である社員が出社できなくなったら…」など、不安に感じていらっしゃることも多いと思います。行政では、新型コロナウイルス感染症の影響による休業に関する支援を行っています。

A:新型コロナウイルス感染症対策 厚労省の助成金
1.雇用調整助成金の特例
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主を対象に、雇用調整助成金の支給要件を緩和する特例措置を実施。
・社員を解雇せず休業させた場合、休業手当に相当する額に助成率(中小企業:5分の4、大企業:3分の2※解雇等を行わない場合は中小企業:10分の9、大企業:4分の3)を乗じて得た額が支給されます(1人1日当たり8,330円が上限)。

2.新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金の新設
臨時休業した小学校等に通う子の保護者に対して、有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主を助成。
・対象となる社員が当該有給の休暇を取得した場合、中小企業・大企業ともに、その賃金相当額が支給されます(1人1日当たり8,330円が上限)。

厚生労働省は、雇用調整助成金に関する多数の問い合わせを受け、Q&Aを公開しています。実際に多くの方が疑問に思われるであろうポイントを一部抜粋しご紹介いたします。

B:雇用調整助成金コールセンターに多く寄せられている質問に関する回答
Q1.助成金額の算定はどのように行われるのでしょうか。
(答)事業主が従業員に支払った休業手当に対して助成します。具体的には、事業所の1日
の平均賃金額に、①休業手当支払率( 60%~100%)と②助成率(特例:中小企業
4/5、大企業 3/4)を掛けて1日当たりの助成額単価を求めます。このとき1日の助
成額単価が8,330円を超えたときは8.330円で計算します。助成額単価に従業員を
休業させた休業延べ日数を掛けた総額が助 成額になります。「1日の平均賃金
額」は前年度の雇用保険料の算定の基礎となる賃金総額等 を従業員数(前年度各月
平均雇用保険被保険者数)と1年間の所定労働日数で 割ります。

(例) 1か月(判定基礎期間)の助成額
1日平均賃金額12,000円×休業手当支払率100%×助成率2/3=8,000円
従業員10 人、月所定労働日 20 日の会社において5 人ずつ交替で毎日休業実施
5 人×20 日/月=100 人日 @8,000×100 人日=助成額 80 万円

Q2. 従業員に新型コロナウイルスの感染者が出た場合、雇用調整助成金の対象になりますか。
(答)事業所内に新型コロナウイルスの感染者が発生し、感染拡大防止の観点から、事業主が自主的に休業等を行った場合、感染者以外の者の休業手当は雇用調整助成金の対象となりますが、患者本人の休業手当は雇用調整助成金の対象外となります。(患者本人には、別途、健康保険制度から傷病手当金が支給されます。)

Q3.雇用調整助成金は労働者個人に支給されるものですか。
(答)雇用調整助成金は、休業等を行う事業主に対して支払われるものであり、労働者個人
には支給されません。また、労働者の雇用の維持を目的とするため、社長や役員、自
営業の家族従事者など雇用者でない者は助成の対象となりません。

Q4.支店ごとに雇用保険の適用事業所番号がある場合、支店ごとに申請が可能ですか。申請が可能な場合、生産指標の要件は、それぞれの支店ごとに判断するのでしょうか。すべての支店の合計の売上げが低下している必要がありますか。
(答)雇用保険の適用事業所ごとに申請が可能です。この場合、生産指標要件は、支店ご
とに生産指標を確認しますので、全支店の売上げの合計は必要ありません。

Q5.正社員とパートの休業手当の支払率が異なる場合、どちらの支払率を用いて助成金は
算出するのでしょうか。
(答)助成金の支給額の算出に当たっては、いずれか低い方の支払率を用いて算出します。

Q6.非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)の休業手当
の支払い率を正社員より低く定めることは、同一労働同一賃金の考え方に反しない
でしょうか。
(答)法定以上の休業手当の支払い率(平均賃金の6割以上)を定める場合に、非正規雇用
であることのみを理由に、一律に正社員より低い休業手当の支払い率を定めること
は、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を目指して改 正されたパートタイ
ム・有期雇用労働法及び労働者派遣法の規定(※)に違反 する可能性があります。
※ 大企業と派遣会社は令和2年4月、中小企業は令和3年4月からの施行となって
います。

雇用調整助成金については、コロナによる影響を鑑みて随時、内容の拡充や要件の緩和が発表されている極めて変動的な状況です。
感染症の拡大が続く中、国はさらなる雇用の維持を図るため、中小企業を対象に、雇用調整助成金の助成率を大幅に引き上げる方針を明らかにしました。
具体的には、中小企業が従業員に休業手当を支払う際、賃金の60%を超える分は国が一定額まではすべて助成する(ただし、上限は8.330円のままである可能性あり)としたうえで、都道府県知事からの休業の協力要請に応じるなどした中小企業は、国が一定額までは休業手当の全額を助成するとしています。

以上、今回ご案内した助成金は、売上の低下といった資金面の根本的な問題の解決にはつながらないかもしれませんが、急場をしのぐために役に立つことは確かです。
また新たな情報が入りましたらお知らせいたします。

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