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改正された電子帳簿保存法が2020年10月1日より施行されます。
今回は改正のポイントと電子帳簿保存法の概要を、お伝えします。
■改正のポイント
2020年度税制改正大綱に盛り込まれた改正のポイントは
「キャッシュレス決済における証憑書類が完全ペーパーレス化できるようになった」ことです。
これにより、クレジットカードやSuica、Paypayなどで支払った場合の紙の領収書が不要となり、
利用明細データの保存のみで認められることになりました。
■改正による変化
・現在
支払い→領収書の撮影・伝票起票→タイムスタンプ→経費精算→領収書の整理・ファイリング
・改正後
支払い→利用明細のデータ→経費精算→データの保存
上記のとおり、これまでは紙の領収書をスマートフォン等で撮影もしくはスキャンし、さらに不正防止のための
タイムスタンプを3日以内に付与する必要がありました。(タイムスタンプを押せなかった領収書は電子データとして認められていませんでした。)
※タイムスタンプとは「その時刻以降、電子データは改ざんされていないこと」を証明する技術のこと
今回の改正では、クラウド上のデータなどで、使用者がデータの改変ができないもの(クレジットカードの利用明細のデータ等)はタイムスタンプの付与が不要となりました。
これにより経費精算等、社内処理の負担が大きく軽減されることになります。
また、新型コロナウィルスの影響でリモートワークになった企業では、経費処理が自宅で完結できるようになり、そのためだけに出社するという事態がなくなり、さらなるリモートワークの推進が期待できます。
■電子帳簿保存法とは?
1998年7月に制定された法律で、今まで紙での保存が義務付けられていた国税関係帳簿書類(決算書類や
契約書、領収書等)について電子データで保存してもよいと定めたものです。 その後、2005年3月に一部が
改正され、書類をスキャンして電子保存したものも認められることになりました。そして2016年の改正では
スマートフォンで読み取った領収書等も認められることとなり、様々な面での規制が緩和されたことから、
導入や活用がしやすくなっています。
■電子保存に必要な手続き
・電子帳簿保存を始める日の3か月前までに、申請書と添付書類を準備して税務署に申請をする
例えば2021年1月1日から始めたければ、2020年9月30日までに申請が必要です。
「電磁的記録による保存」「スキャナ保存」それぞれに承認が必要で、個別に申請することもできます。
・「真実性の確保」「可視性の確保」のための社内整備
データが改ざんされることはないか、誰でも確認できるデータかという要件があります。
詳細は国税庁の以下のリンクをご確認ください。
申請様式 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/04.htm
要件 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018004-061_01.pdf
■データの保存方法
認められている保存方法は2種類
・電磁的記録による保存(パソコンで作成した書類をそのまま電子データで保存すること)
・スキャナでの保存(紙で受け取った書類をスキャナやスマートフォンでデータ化して保存すること)
■電子帳簿保存法を導入するメリット
①業務の効率化
書類が電子化されることによって、ファイリングや資料整理など手作業で行っていた業務の時間が削減できます。
また、データ化した書類をネットワーク上でやり取りすることもできるのでリモートワークや遠隔拠点との連携も
取りやすくなり、紙の書類の到着を待つ時間や、届くまで業務が進まないといったことがなくなります。
②コスト削減
帳簿や書類を電子データとして保存することで、紙の使用量やインク代、コピー代等、紙での保存にかかっていた
コストが削減できます。保存場所の確保も不要になります。
③紛失リスクの軽減
電子データで保存ができると、コピーやバックアップがとれるので、
紙で管理しているときの、間違って廃棄してしまったということがなくなります。
火災など不測の事態が発生した場合も復旧がしやすくなったり、データ喪失の損害を抑えることができます。
今回の改正でより身近となる電子帳簿保存法について
ご不明点、ご質問等ある方は、ぜひ税理士法人CROSSROADにご相談ください。