経理代行の利用が増えている理由と失敗しない選び方
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「住宅取得等資金贈与の非課税制度」について、相続税への対策を考えた際に、耳にされた方も多いのではないでしょうか。
元々は令和3年12月31日までの特例措置でしたが、令和4年度改正で2年延長されており、このほど国税庁ホームページにて、改正後の制度を詳解したあらましが公開されましたので、本制度の概要や改正点、注意点の概要をご紹介いたします。
▼国税庁
「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0022005-028.pdf
■概要と変更点について
趣旨としては、直系の父母や祖父母から住宅の購入・新築・増改築等に使う資金を贈与された場合、一定の要件を満たせば、贈与税が非課税になる制度です。
令和4年度税制改正および民法改正による変更点として、期限延長のほか、次の3点が挙げられます。
1.非課税限度額の減少
省エネ等住宅は1,500万円 ⇒ 1,000万円、それ以外の住宅は1,000万円 ⇒ 500万円と、500万円ずつ限度額が縮小されています。
非課税限度額を超えてしまっても、通常の年間110万円の贈与税非課税枠も併用できますので、金額は勿論、複数年に分けての贈与も考慮に入れて活用する事をお勧めします。
2.対象となる物件の要件緩和
中古住宅を取得した場合、改正前は「築年数20年以内(耐火建築物の場合25年以内)」という条件がありましたが、この条件が撤廃され、「昭和57年1月以降の新耐震基準適合住宅」であれば対象となる様になりました。
省エネ改修の工事も対象になる為、新耐震基準を満たせるか注意が必要ですが、古い住宅を購入して改修し、この改修費用の贈与を受ける、という方法も考えられます。
3.対象者の年齢引き下げ
成年年齢の引き下げにより、対象となる贈与を受ける人の年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられます。但し、令和4年4月1日以降の贈与からの取扱いとなりますので、ご注意ください。
■制度利用に伴う注意点について
本制度は相続税対策にシンプルに有効なのですが、利用には幾つかの注意点があります。
まず最大の注意点として、この制度を利用する場合、贈与税がゼロであっても申告が必須です。
提出期間内に贈与税の申告を行うことを前提として利用できる制度ですので、必ず翌年の3月15日までに申告しなければなりません。申告し損ねてしまった場合は非課税とならず、多額の贈与税に加え加算税まで生じてしまいます。
また、あらましの中で案内と注意を促されている点として、次の2点が挙げられます。
1.住宅ローン控除との競合
本制度の適用を受けた人が住宅ローン控除も受ける場合、控除額が減ってしまうケースがあります。
例:3,000万円のローンを組み、この3,000万円(※)で省エネ住宅を新築。1,000万円を親から贈与してもらい、全額に住宅取得等資金贈与の非課税を受けた場合
⇒年末のローン残高が2,000万円(建築費3,000万円-贈与非課税1,000万円)を超える場合、その超える部分相当の金額は、住宅ローン控除を受けられなくなります。
(※その住宅用の土地取得に係る対価、及び補助金がある場合は、加味する必要があります。)
2.相続時精算課税制度の選択とリスク
本制度を適用した場合、一定要件の下、贈与者が60歳未満でも相続時精算課税を選択でき、累計2,500万円まで贈与税が非課税となるため、短期的には贈与税を抑えられますが、いざ相続となった際、却って税負担を重くしてしまうケースがあるため、慎重に検討する必要があります。
上記の様な注意点に加え、あえて贈与をしない方が最終的な税負担が軽くなるケースもある等、税負担を抑えるために検討すべき事項は多岐に渡ります。
相談できる専門家をお探しの際には、ぜひ税理士法人CROSSROADへご連絡ください。