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グループ法人税制の第4回として、「100%グループ内の法人間の現物分配」についてご説明いたします。
■現物分配とは
現物分配とは、法人(公益法人等及び人格のない社団等を除きます。)がその株主等に対し当該法人の剰余金の配当などの一定の事由により、金銭以外の資産を交付することをいいます。
■適格現物分配とは
現物分配のうち、完全支配関係(100%の資本関係)にある内国法人間で行われるもの、適格現物分配といいます。適格現物分配の要件は、法人税法において、以下のすべての要件を満たすことと規定されています。
(1)現物分配法人(現物分配によりその有する資産の移転を行う法人)が内国法人であること
(2)被現物分配法人(資産の移転を受ける法人)のすべてが、内国法人であること
(3)被現物分配法人のすべてが、普通法人又は協同組合等であること
(4)現物分配の直前において、現物分配法人はすべての被現物分配法人と完全支配関係にあること
■適格現物分配による譲渡損益
100%グループ内の法人間において現物分配により資産を移転した場合、その適格現物分配の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして所得の金額を計算すること(時価評価の対象外)とされているため、その資産の移転により譲渡損益は発生せず、源泉徴収の対象となりません。
これは、グループ間における資産の譲渡などの取引が、同一法人内でなされたものとみなされるためです。そのため、グループ外へ移転等する時まで譲渡損益を繰り延べることになります。なお、資産の移転を受けた法人(被現物分配法人)では、資産の移転により生じた収益については、益金不算入とされます。
■まとめ
完全支配関係があるグループ法人に対する資産の移転は、同一法人内での取引とみなされるため譲渡損益は発生しないと説明いたしました。つまり、グループ法人税制では、グループ内の資産を有効活用できる可能性がある一方で、資産の移転に伴う節税効果を得ることができません。
グループ法人税制は、専門的な知識を要する内容であり、個別の状況に応じて最適な方法を検討する必要があります。
グループ法人税制や組織再編税制について疑問や不安をお持ちの方はぜひ、税理士法人CROSSROADにご相談ください。