資格取得費用や研修費用の経費判断について
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事業を続ける中で取得した固定資産について、その後に使用状況を見直したことはありますでしょうか?今回は、遊休資産についてご説明いたします。
■遊休資産とは
事業用として取得した固定資産のうち、事業や用途の変更など、何らかの理由で稼働が停止している資産のことをいいます。
たとえば、稼働していた機械について、製品が廃盤になるなどの理由で、相当程度の期間使用していない場合や、利用していた事業用建物について、事業の閉鎖にともなって一切利用していないなど、事業を続けるにあたって放置してしまっている資産は遊休資産として処理することになります。
遊休資産とする資産には次のようなものがあります。
・土地、建物
・機械設備
・工具器具備品
・ソフトウェア
■遊休資産の減価償却方法
遊休資産も他の資産と同様に減価償却をおこなう必要がありますが、その減価償却費は「販売費及び一般管理費」ではなく、「営業外費用」として処理します。
そして、法人税法において、費用(損金)として認められる減価償却費は、「事業用として資産を所有し使用している」ことが前提となっているため、遊休資産にかかる減価償却費は、法人税の申告においては損金不算入(費用として控除されない)として処理することになります。
ただし、稼働停止状態の資産であっても、維持や補修などがおこなわれており、いつでも稼働できる状態のものは損金算入することが認められています。
■遊休資産を所有し続けるデメリット
遊休資産を、そのまま所有し続けることで次のようなデメリットがあります。
・毎年、固定資産税がかかる
土地や建物などは遊休状態であっても所有している限り、固定資産税がかかります。また、遊休設備についても、償却資産税が課税されることから、事業活動には関係のない費用が発生してしまうことになります。
・メンテナンスなどの維持費がかかる
機械などには保守・メンテナンスが必要な場合があるほか、建物の管理費や清掃費用、土地の手入れ費用など不動産にも維持費がかかります。これらのように、売上に貢献しない費用が継続的に掛かってしまっている場合があります。
■遊休資産の有姿除却
遊休資産の有姿除却とは、使用を廃止した固定資産について、廃棄や解体などをおこなっていない場合でも、固定資産除却損として損失計上し、節税することができる方法です。固定資産の廃棄や解体には相当の資金が必要となるため、処分できずに不要な固定資産を抱えている場合があります。有姿除却は、現状の姿のままで除却することができるため、有効な手段となります。
ただし、法人税法上、有姿除却が認められるためには、次の要件を満たす必要があります。
・固定資産の使用を廃止し、通常の方法では事業で使用する可能性がないこと
・特定の製品の生産のために使用されていたが、その製品の生産を中止したことにより、将来使用される可能性がないこと
有姿除却は、税務当局のチェックが厳しいため、慎重に取扱う必要がありますが、処分費用を支出せずに税負担をおさえることが可能となるため、資金効率の観点から、遊休資産の状況に応じて積極的に活用すべき制度です。
このようなことから、固定資産の現況について、この機会に確認してみてはいかがでしょうか?
遊休資産として放置している場合には、減価償却費が損金として認められないばかりか、固定資産税等の負担も続きますので、売却や廃棄・解体処分、有姿除却など検討されることをおすすめします。
遊休資産など固定資産についてのご相談は、税理士法人CROSSROADへお問い合わせください。