コラム

国外事業者等における事業者免税点制度の特例等の見直し

税務

令和6年4月に消費税法等の一部改正があり、その中で国外事業者等に係る消費税について、令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用されるものをご紹介いたします。

■背景

国外事業者の特性を利用することで、これまで租税回避ができてしまっていた部分にメスを入れ、課税の適正化の観点から次のように適用範囲の見直しが行われます。

 

【1】国外事業者における「特定期間の課税売上高による納税義務の免除の特例」の見直し

 

基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(※)における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、消費税の納税義務が免除されないこととされています。ただ、これまで特定期間における1,000 万円の判定は、課税売上高に代わり、給与等支払額の合計額によることもでき、そのため免税事業者となるケースが多く発生していました。

 

 (※)特定期間とは次の期間をいいます。

  ・個人事業者の場合・・・その年の前年1月1日から6月30日までの期間

  ・法人の場合・・・原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間

 

この改正により、国外事業者については「特定期間」における1,000万円の判定を、給与等支払額の合計額により行うことができなくなり、「特定期間」における課税売上高が1,000万円を超える場合、給与等支払額の合計額にかかわらず、納税義務は免除されません。

 

(引用:令和6年4月国税庁『消費税法等改正のお知らせ』)

 

【2】外国法人が国内において事業を開始した場合の納税義務の免除の特例の見直し

 

これまで基準期間がない法人で、その事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人は、当該事業年度に含まれる各課税期間の納税義務が免除されません。また、資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満であっても、当該事業年度開始の日において下記【3】の特定新規設立法人の要件を満たす法人は、当該各課税期間の納税義務が免除されません。

この改正により、その事業年度の基準期間がある外国法人であっても、当該基準期間の末日の翌日以後に、国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した場合には、基準期間がないものとみなすこととされました。

このため、当該事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である場合並びに資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満であって下記【3】の特定新規設立法人の要件を満たす場合は、当該事業年度に含まれる各課税期間の納税義務が免除されません。

 

(引用:令和6年4月国税庁『消費税法等改正のお知らせ』)

 

【3】「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」における判定対象者に係る金額基準の見直し

 

基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満の法人(新規設立法人)のうち、次の①、②のいずれにも該当するもの(特定新規設立法人)については、当該特定新規設立法人の基準期間のない事業年度に含まれる各課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されません。

 

 

この改正により、上記②の要件について、「判定対象者」の「基準期間相当期間」における課税売上高が5億円を超える場合又は売上金額、収入金額その他の収益の額の合計額が、国外におけるものも含め50億円を超える場合とされました。

 

【4】恒久的施設を有しない国外事業者における簡易課税制度及び2割特例の適用の見直し

 

税務上のメリット(デメリットもありますが)があるとされる『簡易課税制度』や『インボイス制度の2割特例』。一定の要件さえ満たせば適用が受けられる制度になりますが、その課税期間の初日において恒久的施設を持たない国外事業者については、この改正により適用が受けられなくなりました。

 

(引用:令和6年4月国税庁『消費税法等改正のお知らせ』)

 

ただし、適用開始前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合であっても、令和6年 10 月1日以後に開始する課税期間の初日において恒久的施設を有しない場合には、簡易課税制度の適用はありません。

 

今回ご紹介した内容について、ご不明点がございましたらお気軽に税理士法人CROSSROADへご連絡ください。

 

 

 

 

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