コラム

令和7年度税制改正大綱 ~法人課税の改正点について~

税務

令和7年度の税制改正が昨年12月に発表されました。
今回は、法人課税について改正された点をご紹介いたします。

1.改正の背景

今回の税制改正は、「将来に夢や希望と安心を持てる、公正で活力ある社会を目指すための税制」を構築することを基本としています。具体的な内容は以下3点が挙げられています。

・持続的な経済成長を目指し、活力ある社会を構築するための環境整備を図ること

・若者や現役世代を含め誰もが豊かさを実感できる、質の高い国民生活を実現すること

・わが国を取り巻く厳しい国際環境や国際的要請を踏まえ、いわゆる安全保障及び経済安全保障の強化や地球温暖化対策等に取り組むこと

 

2.法人課税の主な改正点

●中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の延長等

中小法人のうち、所得の金額が年10億円を超える事業年度について、所得の金額のうち年800万円以下の金額に適用される税率が17%に引き上げられました。ただし、所得の金額が年10億円以下の事業年度について、所得の金額のうち年800万円以下の金額に適用される税率は15%として2年間延長されます。

 

●中小企業経営強化税制の見直し

中小企業経営強化税制とは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、対象設備の取得や製作等をした場合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金の額等が3,000万円超1億円以下 の法人は7%)が選択適用できるもので、適用期限が2年間延長されます。

【適用要件】

①特定経営力向上設備等であること

②投資計画における年平均の投資利益率が7%以上であること

➂経済産業大臣が定める要件に適合することにつき経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備であること (機械装置、工具器具備品、建物及びその附属設備、ソフトウエアで、一定の規模以上のもの)

 

●地域未来投資促進税制の見直し

地域未来投資促進税制とは、地域の強みを生かした先進性の高い事業への設備投資を行う際に減税措置を受けられる制度です。「地域経済牽引事業計画」の承認を受けた事業者が利用でき、法人税の特別償却または税額控除が受けられます。

【適用要件の主な変更点】

①投資規模要件が1億円以上かつ、前年度減価償却費の25%以上であること

②対象となる事業類型からサプライチェーンの強じん化に資する類型が除外される

➂特別償却率が50%に、税額控除率が5%にそれぞれ引き上げる

④機械装置及び器具備品の特別償却率を35%に引き下げる

などがあり、適用期限が3年間延長されます。

 

●地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の延長等

関係法令等が改正され、寄附活用事業を実施した認定地方公共団体が、寄附活用事業の完了の時及び各会計年度終了の時に、寄附活用事業を適切に実施していることを確認した書面を内閣総理大臣に提出しなければならないこととする等の措置が講じられることを前提に、適用期限が3年延長されます。 (引用:財務省「令和7年度税制改正の大綱」より)

 

今回ご紹介した内容について、ご不明点等がございましたらお気軽に税理士法人CROSSROADへお問い合わせくださいませ。

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