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会計・税務・経営コンサルティングのご相談は大阪市中央区と東京都港区の税理士法人CROSSROAD(クロスロード)
2024年以降、日本経済は新たな局面に入りました。物価の持続的上昇に加え、長年にわたり続いてきた超低金利政策の転換が進み、企業はかつてない「コスト高」と「金利上昇」の二重圧力に直面しています。とりわけ中小企業にとっては、原材料費やエネルギー、外注費の上昇と借入コストの増加が経営を圧迫し、従来の対応力だけでは乗り切れない時代が到来しています。このような構造的な変化を前に、必要とされるのは“現状維持”ではなく“変化を味方にする戦略”です。本稿では、今、中小企業が取り組むべき三つの経営戦略についてご紹介し、それを支えるクラウド会計の活用についても触れてまいります。
1.借入構造と資金戦略の再設計
金利上昇の影響は、単に返済額が増えるというだけでなく、企業の資金繰りと信用力にまで波及します。特に変動金利での借入を多く抱えている場合、金利の変動による利払いの増加は、予期せぬキャッシュフローの圧迫を招きかねません。この状況を打開するには、借入の固定金利化や条件変更によるリスクヘッジが不可欠です。また、近年注目されているのが「資本性劣後ローン」の活用です。日本政策金融公庫などが提供するこの制度は、返済順位が後回しとなるため、自己資本とみなされやすく、企業の信用力向上や新規融資への道を広げます。こうした再設計には、将来のビジョンを数字で語る力が求められます。単なる帳簿上の数字ではなく、経営の展望を裏付けるストーリーある財務こそが、金融機関との対話を前向きなものに変える鍵となります。
2.価格転嫁における「納得性」の設計
あらゆるコストが上昇する中で、価格改定は避けられないテーマです。しかし、「価格が上がります」と一方的に伝えるだけでは、顧客の理解や支持は得られません。今求められるのは、「なぜ値上げが必要なのか」と「それでも選ばれる理由」を、数値と論理で説明する姿勢です。たとえば、不良率の低減、納期遵守率、顧客満足度、環境配慮といった定量化されたサービス価値の見える化が、顧客との対話の質を変えます。これは単なる価格交渉ではなく、価値の再定義と共有のプロセスです。さらに、営業・製造・バックオフィスといった各部門が一体となって価格改定の意義を理解し、共通認識のもとで行動することが、対外的な説明力を支えます。価格改定とは、自社の提供価値を問い直す絶好の機会でもあります。それにふさわしい準備と説明力が、顧客との関係性をより強固にしていきます。
3.経営数値のリアルタイム把握と行動への即応
インフレや金利上昇の影響は、静かに、そして確実に利益構造を侵食します。問題は、多くの企業がその変化に「気づかないまま時間を失ってしまう」点にあります。数%のコスト増が粗利に大きく影響するにもかかわらず、それが見えないのは、会計情報が遅く、断片的で、活用されていないからです。そこでCROSSROADが推進しているのが、freeeなどのクラウド会計ソフトを基盤にした経営体制の再構築です。領収書や請求書の読み取りから仕訳反映、試算表作成、資金繰り表、キャッシュフロー管理、さらには広告費や原価率の分析までを連携。情報を瞬時に集約し、経営者の意思決定に直結する“使える数字”を提供します。このようなリアルタイム性は、経営のスピードと正確性を高め、変化への対応を一歩先に進めます。もはや会計は「記録」のためではなく、「判断」のためのツール。数字の裏側にある“兆候”を読み取る力が、企業の命運を左右する時代です。
終わりに ── 環境は選べない。だが、経営の姿勢は選べる
外部環境が激変する時代にあって、経営者が選べるのは「どう向き合うか」の姿勢だけです。財務戦略の再構築、価格転嫁の納得設計、数値の即時把握という三つの視点は、単なる防御策ではなく、未来を切り拓く“攻めの経営”の土台となります。税理士法人CROSSROADでは、クラウド会計の導入支援にとどまらず、そこから得られるデータをもとに、財務分析・資金調達戦略・価格設計といった実践的支援まで広く対応。単なる会計処理ではなく、「数字で経営を語る」力を、経営者とともに育ててまいります。
ぜひ一度税理士法人CROSSROADへお気軽にご相談ください。