中小企業におけるM&A ー未来を拓くための前向きな選択肢ー
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今回は、空き家に係る固定資産税の住宅用地特例の除外措置と、相続等により取得した空き家に係る譲渡所得の特別控除についてご説明します。
固定資産税については、住宅が建っている土地については次のように算出した金額を課税標準とする「住宅用地の特例」が設けられています。
・小規模住宅用地(200㎡以下):評価額×1/6=課税標準
・一般住宅用地(200㎡超部分):評価額×1/3=課税標準
この特例により、居住用不動産に係る固定資産税負担は大幅に抑えられています。
住宅が長期間放置されたなどの結果、倒壊等の危険性や著しい衛生・景観上の問題がある住宅は「特定空家等」として市町村長が指定することができます。
特定空家等に指定されると、住宅用地の特例の適用対象外となり、課税標準の軽減が受けられなくなります。その結果、固定資産税が概ね最大で6倍程度に増額される可能性があります。
相続により取得した被相続人の居住用家屋等を譲渡する場合には、一定の要件を満たすことで譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例が設けられています。
(1)適用要件
次の要件をすべて満たす必要があります。
①対象者
売却した家屋及びその家屋の敷地の両方を被相続人から相続等により取得した相続人であること
②家屋の要件
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
・区分所有建物(マンションなど)に該当しない家屋であること
・相続開始の直前において、被相続人以外に居住していた者がいない家屋であること
③譲渡期限
・平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間にした譲渡であること
・相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
④譲渡の形態
次のいずれかに該当していること
・被相続人の居住用家屋の売却または被相続人の居住用家屋とともにその敷地の用に供されていた土地等の売却であり、一定の要件を満たしていること
・被相続人の居住用家屋を取り壊した後、その敷地の用に供されていた土地等の売却に該当し、一定の要件を満たしていること
⑤その他の要件
・譲渡対価の額が1億円以下であること
・譲渡する相手方が、配偶者・直系血族などの特別関係者でないこと
(2)控除額
・(1)の要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除可能です。
・居住用財産の譲渡に係る3,000万円特別控除との重複適用はできず、いずれか一方を選択する必要があります。
空き家の増加は、地域の安全・景観・衛生面に悪影響を及ぼす社会問題となっています。
そのため、放置を抑制するための措置として住宅用地特例の除外が導入される一方、適切な処分を促すための有利な仕組みとして相続等により取得した空き家に係る譲渡所得の特別控除が設けられました。
空き家を放置すれば固定資産税負担が増加する可能性がある一方、相続後に譲渡すれば譲渡所得税の大幅な軽減を受けられる場合があります。
不動産の相続や譲渡については、税理士法人CROSSROADに、お気軽にご相談ください。