コラム

居住用賃貸建物の取得に係る消費税の取り扱いについて

税務

令和2年の税制改正で、居住用賃貸建物の仕入(取得)に係る消費税の、仕入税額控除の取り扱いについて改正がありました。
今回はその改正について概要をご説明いたします。

1.改正の背景
 従来、居住用賃貸建物の仕入に係る消費税は、その所有建物の収入である住宅家賃が非課税のため、原則として、仕入税額控除の対象になりません。
 しかし、建物の仕入に係る消費税は高額で、仕入税額控除を適用するため、色々なスキームが考えられてきました。最近では、意図的に金地金を売買し、消費税の課税対象となる取引を増やすことで、仕入税額控除の全部または一部の適用を可能にする、というスキームが横行していました。
 今回の改正の目的は、そのような租税回避行為の防止です。
 
2.改正の概要
① 仕入税額控除の制限
改正により、居住用賃貸建物(住宅の貸付の用に供しないことが明らかな建物以外の建物で、かつ、高額特定資産(※1)に該当するもの。以下同じ。)の仕入に係る消費税は、仕入税額控除の対象でなくなります。
ただし、居住用賃貸建物のうち、住宅の貸付の用に供しないことが明らかな部分は、従来どおり仕入税額控除の対象となります。

 ※1 高額特定資産 ・・・ 一取引単位につき、税抜1000万円以上の棚卸資産または固定資産
 
② 実態に応じた調整
 また、仕入税額控除の対象とならなかった居住用賃貸建物の仕入に係る消費税について、その仕入の日から、その仕入課税期間の最大2年後の課税期間までの間に、住宅の貸付以外の貸付または譲渡をした場合は、実態に応じてその貸付または譲渡をした課税期間の仕入税額控除の対象として、加算調整することができます。
 
③ 適用開始時期
なおこの改正は、令和2年10月1日以後におこなった居住用賃貸建物の仕入に適用されます。ただし、令和2年3月31日までに締結した契約に基づきおこなった居住用賃貸建物の仕入には適用されません。
 
居住用賃貸建物の仕入に係る消費税は、高額になるため、今まで様々な税制改正がおこなわれてきました。
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