コラム

所得拡大促進税制の見直しについて

税務

令和3年度の税制改正大綱では、「所得拡大促進税制の見直し」が公表されました。
コロナ禍において雇用環境は悪化する一方です。その中で、経済の好循環・持続的な成長のためには中小企業全体として、
雇用を守り賃上げによる所得拡大を促すことが重要になっていくのではないでしょうか。
今回の税制改正では、この所得拡大促進税制について対象の拡大や緩和が行われます。
さっそく内容をご説明させていただきます。

■所得拡大促進税制とは?
「所得拡大促進税制」とは、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、
前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から
税額控除できる制度です。

■令和3年に改正される内容
前提として、現行制度を維持しつつ、適用要件を一部見直し・簡素化した上で、適用期限は2年間(令和3年4月1日~
令和5年3月31日)延長することとされました。

①適用要件の見直し
【現行制度】継続雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加している
【改正案】給与等支給総額(企業全体の給与)が前年度比で1.5%以上増加している
今までは前期から雇っている従業員の給料等が対象でしたが、改正案では、それに加えて
新規で採用した方も対象になりました。
これにより、新規採用によって人件費が増加している会社でも使えるようなります。
 
②控除率の上乗せ措置のための要件の見直し
【現行制度】「継続雇用者給与等支給額」の対前年度増加率が2.5%以上であり、かつ、
教育訓練費増加等(注)の要件を満たす場合には、控除率を15%から25%に引き上げること
(注)教育訓練費増加等の要件:以下のいずれかの要件を満たすこと
Ⅰ.教育訓練費が前年度比で10%以上増加していること
Ⅱ.中小企業等経営強化法における「経営力向上計画」の認定を受け、その経営力向上計画に記載された経営力向上が
確実に行われていることにつき一定の証明がされたものであること
【改正案】上記の現行制度の「継続雇用者給与等支給額」の増加要件について、「雇用者給与等支給額」の対前年度増加率が2.5%以上に見直される
今までは前期から雇っている従業員の給料等の対前年度増加率が対象でしたが、改正案では、それに加えて
新規で採用した方の給料等も含めた対前年度増加率が対象になりました。
 
③「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」の見直し
上記①の「適用要件」及び上記②の「上乗せ控除のための要件」を判定する場合には、雇用調整助成金及びこれに類するものの額を控除しないこととなります。
また、控除税額の計算に用いられる「雇用者給与等支給増加額」は、雇用調整助成金及びこれらに類するものの額を控除して計算することとなります。
 
最後に、今回の税制改正大綱はコロナ禍の1年となった状況を踏まえた税制改正となります。
ウィズコロナ・ポストコロナ後の経済再生を実現・推進するための税制の見直しです。
活用してコロナ禍を乗り切りましょう。詳しく話を聞いてみたいと思われた方は、
ぜひ税理士法人CROSSROADまでご相談ください!

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