コラム

令和3年度税制改正 株式対価M&Aを促進するための措置の創設

税務

「令和3年度税制改正大綱」において「株式対価M&Aを促進するための措置」が創設されました。
自社株式を対価とした企業買収を可能とするもので、この制度により未上場の中小企業における事業再構築において、自社株式を活用したM&Aが増えることが予想されます。

自社株式を活用したM&Aのメリット
買収会社の資金調達負担が軽減することから、大型案件の買収や手元資金に余裕がない新興企業等による買収などが促進されるメリットがあります。また、買収にかかる資金流出を抑えることで、資金を設備投資や人件費等に活用でき、投資戦略の幅が広がります。
 
これまで自社株式を活用したM&Aがあまり行われてこなかった理由
・現物出資規制及び有利発行規制の適用を受けるため、認定手続きが必要
・被買収会社の株主に株式譲渡課税の負担が生じる
など要件が厳しいことから活用は進んできませんでした。
 
改正の内容
1. 譲渡損益の繰り延べ
法人及び個人が株式交付制度により買収会社の株式等の交付を受けた場合、その譲渡した株式譲渡損益の計上が繰り延べられます。(株の売却時に課税)。
ただし、外国法人の場合には、国法人の日本の恒久的施設において管理する株式に対応して株式交付親会社の株式の交付を受けた部分に限定して適用します。
 
2.自社株式に加えて金銭等を交付する場合
交付対価のうち総額の20%以下までは金銭等を含めることが可能(混合対価)。
ただし、当該金銭部分に対しては課税されます。

3.確定申告書の添付書類
株式交付親会社の確定申告書に、貸借対照表、損益計算書等の他に、株式交付計画書及び株式交付に係る明細書を添付することが必要となります。
 
今回の税制改正により、未上場企業にとってはこの制度の創設によってこれまで中々使いにくかった自社株式対価のM&Aが活用できるようになるため、今後の動向が注目されます。   
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