コラム

「小規模事業者持続化補助金」の概要について

税務

小規模の事業者(*)に対して、事業者が販路開拓などをすることにより、産業などの生産性向上や地域雇用を発展させるための補助として設けられた「小規模事業者持続化補助金」が、令和3年度補正予算で、新規の枠組みが創設され、より活用しやすくなりました。今回は、新たに拡充されたポイントについてご紹介します。


 
■令和3年度補正予算 持続化補助金の拡充のポイント
令和元年度補正予算より継続している上記の通常枠に加え、令和3年度補正予算では以下の特別枠が新設されました。

【成長・分配強化枠の新設】
①賃金引上げ枠
対象者:賃金引上げ又は雇用増加により、事業規模拡大を推進する小規模事業者。なお、引上げと認められるのは、事業場内最低賃金が地域別最低賃金よりプラス30円以上となる場合です。この条件がすでに満たされている時は、現在支給している事業場内最低賃金よりプラス30円以上の賃金引き上げが必要となります。
・補助上限:200万円
・補助率:2/3(赤字事業者は3/4へ引上げ、加点による優先採択を行う)
 
②卒業枠
対象者:販路開拓を実施した上で、小規模事業者の従業員数を超えるよう、事業規模拡大に向け雇用を増やす小規模事業者。
・補助上限:200万円
・補助率:2/3
 
【新陳代謝枠の新設】
③後継者支援枠
対象者:いずれ事業承継する見込みがあり、販路開拓を行う後継者候補として「アトツギ甲子園」のファイナリストに選ばれた小規模事業者。
・補助上限:200万円
・補助率:2/3
「アトツギ甲子園」の参考サイト:https://atotsugi-koshien.go.jp/
 
④創業枠
対象者:産業競争力強化法に則った「認定市区町村による特定創業支援等事業」の支援を過去3年の間に受け、併せて過去3年の間に開業し、販路開拓を行う小規模事業者。
・補助上限:200万円
・補助率:2/3
 
【インボイス枠の新設】
対象者:2021年9月30日~2023年9月30日の課税期間で、一度でも免税事業者であった、もしくは免税事業者になると見込まれる事業者の中で、インボイス(適格請求書)発行事業者に登録を行い、販路開拓に取り組む小規模事業者。
・補助上限:100万円
・補助率:2/3
 

【「地域資源型」、「地域コミュニティ型」の事業者の優先採択】
中小企業・小規模事業者の多様性に注目し、企業の特徴・実態を分析するため以下の4つに分類されます。
1.グローバル型
2.サプライチェーン型
3.地域資源型
4.地域コミュニティ型 (2020年版中小企業白書での「生活インフラ関連型」に対応)
 
このうち、令和3年度補正予算の持続化補助金において、優先採択の対象となっているのが「3. 地域資源型(地域資源を活用し立地地域外でも事業活動する企業)」「4. 地域コミュニティ型(地域の生活やコミュニティをサポートする企業)」です。
人口密度が低い地域ほど、商店街・地場産業の衰退、労働者・労働場所の不足などが大きな課題となっています。これらの問題を解決するため、小規模事業者が中心となり役割を果たすことが望まれます。
一方、人口減少が加速している地域では、需要減少に伴い小規模事業者の基盤そのものが揺らいでいます。今後事業者が利益を確保するためには、域外への販路開拓が必要です。
このような現状を踏まえ、またコロナ収束後のことも視野に入れ、「地域資源型」「地域コミュニティ型」への支援が重要です。持続的成長を目指し地方創生に尽力する事業者を、パワーアップ型加点として優先採択されます。
 
■最後に
令和3年度補正予算では特別枠や優先採択が拡充され、より多くの小規模事業者が支援を受けられるようになります。
持続化補助金の申請を検討される事業者の方は、持続化給付金申請の実績が多くある税理士法人CROSSROADまで
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