コラム

コロナ禍の税務調査について

税務

2022年6月に国税庁が「国税庁レポート2022」を公表しました。
その中で今回は、税務調査に関する取り組みについてご紹介します。

 ▼国税庁 「国税庁レポート2022」

  https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/report/2022.pdf

 

■適正・公平な課税の推進

~ 悪質な納税者には厳正な調査を実施する一方で、その他の納税者には簡易な接触も実施~

国税庁では、様々な角度から情報の分析を行い、不正に税金の負担を逃れようとする悪質な納税者に対しては、適切な調査体制を編成し、厳正な調査を実施することとしています。

一方で、その他の納税者に対しては、文書や電話による簡易な接触も行うなど、限られた人員等をバランスよく配分し、効果的・効率的な事務運営を心掛けています。

 

~ データ活用の取組強化 ~

国税庁では、様々なデータの中から必要な情報を抽出・加工・分析し、データ間の整合性・関連性・ 傾向等を把握することにより、潜在的な高リスク納税者を抽出する予測モデルの構築に取り組んでいます。

今後は、構築した予測モデルと国税組織が保有する様々な資料情報等を組み合わせ、課税事務の効率化・高度化に努めていきます。

 

■調査において重点的に取り組んでいる事項

(1)消費税の適正課税の確保のため、十分な審査と調査を実施

消費税は、税収の面で主要な税目の一つであり、国民の関心も極めて高いことから、一層の適正な執行に努めています。

特に、虚偽の申告により不正に還付金を得ようとするケースについては、調査などを通じて還付原因となる事実関係を確認し、不正還付防止に努めています。

また、輸出物品販売場制度を悪用して、不正に消費税免税物品の売買等を行った者への対応については、税関国税庁とも連携し、厳正な課税処理に努めています。

 ◎ 消費税の調査事例

 ・高額な固定資産の購入を装い架空の課税仕入れを計上していた事実を把握

 ・輸出物品販売場で消費税免税物品を大量に購入していたが、購入した物品を国外に輸出せず、不正に消費税の免税を受けていた事実を把握

 

(2)資産運用の多様化・国際化を念頭に置いた調査を実施 ~

増加する海外への投資や海外取引などについて、国外送金等調書をはじめとする資料や海外当局との租税条約等に基づく情報交換制度のほか、共通報告基準(CRS)によって得た情報を活用し、実態解明を行い、深度ある調査を実施しています。

特に、富裕層については、多様化・国際化する資産運用から生じる運用益に対して適正に課税するとともに、将来の相続税の適正課税に向けて情報の蓄積を図っています。

 ◎ 海外資産等の申告除外・国際的租税回避を把握した事例

 ・租税条約等に基づく情報交換制度によって、海外銀行の代表者名義預金に売上代金を入金させ、売上を適正に申告していなかった事実を把握

 ・CRS情報を端緒に、相続税の申告において海外預金から出金した現金などを申告していなかった事実を把握

 

(3)資料情報を活用し、的確に無申告者を把握 

無申告は、適正な申告をしている納税者に強い不公平感をもたらすことになるため、資料情報などから的確に把握し、積極的に調査を実施しています。

 ◎ 無申告の調査事例

 ・暗号資産取引により多額の利益を得ていたものの、関係人に暗号資産を送金の上、当該関係人に日本円に換金させることで、自己の収益として申告しなかった事実を把握

 ・被相続人の銀行口座から相続人が生前に出金して自宅に保管していた現金があり、相続税の申告が必要であったが、無申告だった事実を把握

 

上記の通り、コロナ禍でも「適正・公平な課税の推進」を国税庁は目標とし、税務調査に取り組むことが伺えます。

税務調査でお困りの際には、ぜひ税理士法人CROSSROADへご連絡ください。

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