コラム

極めて高い水準の所得に対する負担の適正化

税務

2022年12月に政府が来年度の税制改正大綱を閣議決定しました。
その中で今回は、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化についてご紹介します。

▼自由民主党 令和5年度与党税制改正大綱

 https://storage.jimin.jp/pdf/news/information/204848_1.pdf

 

■令和5年度税制改正の基本的な考え方等

今回の極めて高い水準の所得に対する負担の適正化を行った背景として、経済再生に向けた取組みの礎たる、社会に対する国民の信頼を高める意味において、より公平で中立的な税制の実現に向けられたものとなっています。

その背景として、高所得者層ほど所得に占める株式等や土地建物の譲渡所得の割合が高いことから、高所得者層で所得税の負担率が低下するという逆転現象が生じていました。

給与等は高額になるほど税率が上がる累進制の課税である一方、株式等や土地建物の譲渡所得の売却益に対する税率は一律15%であるため、株式等の譲渡が多いほど税負担が低くなる状況となる、いわゆる「1億円の壁」問題をめぐり、改正が行われました。

 

実際の改正内容としては、

(1)その年分の基準所得金額から3億3,000万円を控除した金額に5%の税率を乗じた金額がその年分の基準所得税額を超える場合には、その超える金額に相当する所得税を課する措置を講ずる。

 

 (注1)上記の「基準所得金額」とは、その年分の所得税について申告不要制度を適用しないで計算した合計所得金額(その年分の所得税について適用する特別控除額を控除した後の金額)をいい、「基準所得税額」とは、その年分の基準所得金額に係る所得税の額(分配時調整外国税相当額控除及び外国税額控除を適用しない場合の所得税の額とし、附帯税及び上記(1)により課す所得税の額を除く。)をいう。

 

 (注2)上記(注1)の「申告不要制度」とは、次に掲げる特例をいう。

  ① 確定申告を要しない配当所得等の特例

  ② 確定申告を要しない上場株式等の譲渡による所得の特例

 

 (注3)上記(注1)の合計所得金額には、源泉分離課税の対象となる所得金額を含まないこととする。

(NISA制度及び特定中小会社が設立の際に発行した株式取得に要した金額の控除等の特例において非課税とされる金額も含まない。)

 

(2)上記(1)の適用がある場合の所得税の確定申告書の記載事項を定めるほか、 所要の措置を講ずる。

 (注)上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。

 

実際にどの程度税額に影響が出るか簡易的に試算を行います。

今回は、株式譲渡で20億所得が出た方を試算します。

[改正前]

20億×15%=3億

[改正後]

(20億―3.3億)×22.5%=3.75億

このように、改正前と改正後で7,500万の増税となりました。

 

上記の通り、令和7年と少し先のお話となりますが、高所得者に対して大きく課税される改正内容となりました。

今回の改正は国税のみの改正内容となり、上記内容に加えて地方税への影響も留意する必要があります。

税制大綱の詳しいご説明を希望の方、今後のタックスプランニングでご不安な方は、

ぜひ税理士法人CROSSROADへご連絡ください。

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