コラム

個人が運営する民泊ビジネスに関する税務

税務

 今回は、最近ニュースなどで耳にする、民泊ビジネスに関する税務について取りあげます。民泊ビジネスは、主に個人が民家やマンションの空室などを、有償で旅行者に宿泊させるビジネスをいいます。

1.民泊ビジネスの現状

 本来、民泊とは農村の民家などに無償で宿泊させることを指していました。しかし近年、訪日外国人旅行者の急増を背景とし、airbnbを代表とする仲介業者の出現で、民泊が新たなビジネスモデルとして、国内で発展しています。

 民泊ビジネスが出現した当初は、法律が対応していない部分がありましたが、徐々に法整備が進んできています。その中で現在、税務申告でどのような所得として申告すればいいかを、法律・条例を踏まえてご説明いたします。

 

2.民泊ビジネスに関する税務

 民泊ビジネスの所得区分は、営業形態や規模、サービスの内容などの個別の事情により、不動産所得、事業所得、雑所得のいずれかに該当することになります。

 また、どのような法律・条例の許可に基づき実施されているのか、という点も判断の基準となります。

 

旅館業法の許可に基づく民泊ビジネス

 旅館業としての民泊ビジネスは、旅行者に対する様々なサービスとともに提供されることが一般的です。不動産の貸付以外に、付随するサービスが多分にある場合、不動産所得に該当する可能性は低く、雑所得に該当するケースが多いと想定されます。

民泊条例の許可に基づく民泊ビジネス

 民泊条例は、大阪市や東京の一部の区などで、旅館業法の特例として、制定されている条例です。

 この条例に基づき民泊として営業する場合、賃貸借契約を結ぶこととなるので、その契約内容が、不動産の貸付のみであれば不動産所得、サービスが付随していれば雑所得に該当することが想定されます。

住宅宿泊事業法(以下「民泊新法」という)の許可に基づく民泊ビジネス

 民泊新法は、2018年6月15日に施行される法律で、①及び②に該当しない住宅宿泊ビジネスについて制定されます。

 この場合は①と同様に、不動産の貸付に付随して、サービスが提供されることが多く、雑所得に該当するケースが多いと想定されます。

 

 また、①~③のいずれにおいても、事業としての規模で営業している場合は、雑所得でなく、事業所得にも該当するケースも想定されます。

  以上のような所得区分になることが想定されますが、いずれの法律・条例の許可に基づき実施されている場合でも、実態に応じて所得税が課されることとなります。

 

3.今後の見通し

 2020年に東京五輪の開催を前に、今後ますます民泊ビジネスの需要は増加し、それに伴い、税制も含む法律の整備などが更に進んでいく見込みです。

 民泊ビジネスに関する税務についてお悩みの方は、ぜひ税理士法人CROSSROADへご相談ください。

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